気功を練習する上で最も大切なことの一つに「丹田」の開発があります。
「丹田」は人体の中心と考えられている部位であり、同時に「気の貯蔵庫」でもあります。
今回はこの丹田についてお話しします。
気功における丹田は三つある
気功においては丹田を3つに分類しています。 立禅(站椿功)の具体的なやり方と解説です。 立禅は気功法の基本にして奥義でもあります。気功には数百とも数千とも言われる流派が存在しますが、立禅を基本にしているのはどの流派も変わりません。よって立禅には ...
それぞれ「下丹田」「中丹田」「上丹田」を呼ばれます。
一般的に丹田というと「下丹田」のことを指す場合がほとんどです。
「下丹田」は昔から臍下三寸の位置にあると言われ、「肚」(ハラ)とも言われる場合もあります。
身体の要となる場所でり、気功においては気を蓄える上で最も大切な部位と考えられています。
気功の鍛錬は兎にも角にも「下丹田」を開発することが、何より重要です。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
立禅(站椿功)について
「中丹田」について
立禅(站椿功)によって「下丹田」に気が充実してくると、その気が経絡を上昇して「中丹田」を形成します。
「中丹田」の位置は胸の真ん中「壇中」と呼ばれる経穴にあります。
身体の安定を司る「下丹田」に対して、「中丹田」は「心や愛」といった人間の感情を司ります。
特に女性においては「中丹田」が最も大切な「気」の要となります。
よく「胸が一杯」「胸が締め付けられる」「胸が張り裂けそう」「胸糞悪い」などと言いますが、いずれも心の状態、感情を表す言葉です。
このように「胸」は気持ちに対して影響のある部位ですが、それはこの「中丹田」によるものです。
当然、胸には「心臓」があり、心拍と感情は密接に関係しているのは周知の通りです。
「中丹田」に気が充実しているときは「心」が充実します。
愛や優しさに溢れ、ウキウキし、思いやりや暖かさに包まれます。
自信がある時に胸を自分でドンと叩く仕草は、心が充実している証です。
逆に辛い思いや、寂しい思いをしているときは、胸が苦しくなります。
こういうときは実際に「中丹田」の位置である「壇中」も非常に硬くなり、冷えている場合がほとんどです。
この状態が継続的に続くと、心や感情が不安定になり、陰鬱になっていきます。
そうならないためにも、「中丹田」には常に気を蓄え、また柔らかくしておく必要があります。
女性にとっての「中丹田」
「中丹田」は女性にとって最も大切な気の貯蔵庫です。
胸は女性にとって象徴的な部位であり、同時に子供に母乳を与える大切な器官です。
よって身体の機能としても元々エネルギーの満ちている部位となります。
「中丹田」への気が滞ると、胸が硬くなり気の流れが低下します。
すると乳腺の代謝も低下し、ホルモンバランスも崩れ、感情も不安定になります。
姿勢も悪くなり、スタイルも崩れ、自信もなくなるという悪循環に陥ってしまいます。
そうした場合には「中丹田」に充実した気を入れることで、心が安定して気持ちも落ち着きます。
胸肩が柔らかくなることで血行が促進し、肩こりや頭痛が消え、バストアップなどスタイル向上にも繋がります。
女性は身体の自信が、心の自信に大きく影響しがちです。
よって中丹田は特に大切することをお奨めします。
「中丹田」を守るために
このように「中丹田」は心の窓であり、そのため古来から非常に大切にされてきました。
ネックレスやペンダントはもちろんアクセサリーですが、実はこの「中丹田」を守る「魔除け」としての意味があります。
「中丹田」に悪気が入ることで、「心」を苦しめられる、という信仰があったのだと思われます。
キリスト教のお祈りでは胸で十字を切って両手を胸の前で合わせます。
仏教では胸の前で合唱し念仏を唱えます。
どちらも胸を大切にするという身体動作です。
現代では「心や感情」は「脳」にあると考えがちですが、実は気功の世界では「胸」すなわち「中丹田」にあると考えられています。
もちろんこれは思想的なものですが、「気功」を長く鍛錬しているとこのことを強く実感することができます。
気功の詳しい解説は下記の書籍にあります。
私の気功の師の一人である「盛鶴延老師」の著書です。ぜひご覧ください。
今回もご覧いただきありがとうございました。
何らかの参考にしていただければ幸いです。
次回もお楽しみに!
喜多原 歓喜地