立禅(站椿功)の具体的なやり方と解説です。
立禅は気功法の基本にして奥義でもあります。気功には数百とも数千とも言われる流派が存在しますが、立禅を基本にしているのはどの流派も変わりません。よって立禅には気功のエッセンスが凝縮されているということになります。
「立禅」によって周りの気と同調する
気功の基本的な考え方は人間の持つ「同調作用」です。
立禅によって身体を正しい状態に維持し、周りの「気」と同調しやすい体を作ります。
ちなみに「禅」とは「示すへん+単」と書くように「一つになる」という意味です。
つまり周りと「一つ」になることで、「気」を入れることができるようになります。
仏教の修行では伝統的に「坐禅」を用いられますが、「立禅」も「坐禅」も本質的な目的は同じで、周りと「一つ」となることです。
力を抜くことによって同調が深まる
「一つ」になること、すなわち周りの環境と同調するためには、自らの身体を柔らかくすることが大切です。
柔らかくすることによって周囲の状態に対して柔軟に合わせることができ、同調作用をより高めることができます。
逆に体が硬くなっていると、影響に対してぶつかってしまい、同調することはできません。
そのためには身体の軸をまっすぐにし、重力線に対して沿う形で「立つ」ことが大切です。
重力に逆らわずに「立つ」ことによって、回っている独楽のように安定し、なおかつ無駄な力が抜けます。
結果的に身体が柔らかくなります。
また特に、身体だけでなく、思考も柔らかくすることもとても大事です。
真の意味で体を柔らかくするためには、その時の思考状態もリラックスしていないといけません。
よって立禅の最中はなるべく余計なことを考えずに「無心」でいることを心がけましょう。
「気」を丹田の収める
全身の力が抜け、思考もリラックスできると、身体は自然に安定した状態になります。
意識が朦朧となり、身体感覚も軽くなり周囲と溶け込んでくるような感覚を覚えます。
このような状態を「禅に入る」と言います。すなわち「一つ」の状態になりはじめているということです。
こうした状態になることが「立禅」の大きな目的であり、この状態を維持すればするほど、周期の気が自分の体内に入ってくることになります。
はじめはその感覚は分かりづらいかもしれませんが、毎日行っているうちに、気の流れも感じ始めると思います。
身体に入ってくる「気」は、「丹田」に納めることが大切です。
「丹田」とはいわば「気」の貯蔵庫でもあり、同時に人体の正しい重心の位置でもあります。
一般的には「ヘソ下3寸」と言われますが、下腹部に充実感があればそこをより強化していくという考え方で良いと思います。
「丹田」が充実することで、姿勢も安定し、それにより思考や心も安定することになります。
この仕組みが「気功」による健康養生の一番基本の考え方です。
立禅の終わりには必ず「収功」をしましょう。
これは立禅によって全身を駆け回っている「気」を落ち着かせ、同調状態にある身体を通常の状態に戻すためのものでもあります。
いわばクールダウンのようなものであり、身体に疲労を残さないために必ず行いましょう。
立禅を行う時間は40分以上を理想とされていますが、無理して行う必要はありません。
自分の体調に合わせ、はじめは5分や10分から始めてもOKです。
慣れてきて、「禅」に入れるようになると、時間感覚が消えていつまでも「立禅」できるような感覚になります。
この状態を目指して少しづつ毎日行うことが大切です。
立禅(站椿功)の基本的なやり方は下記書籍にも非常にわかりやすく書かれております。
私の気功の師の一人である「盛鶴延老師」の著書です。ぜひご覧ください。
今回もご覧いただきありがとうございました。
何らかの参考にしていただければ幸いです。
次回もお楽しみに!
喜多原 歓喜地